【作品#0251】消えない罪(2021)

2020年代

消えない罪(原題:The Unforgivable)

2021年のアメリカ/イギリス/ドイツ映画
上映時間は112分

ルースは殺人の罪で20年間服役した刑務所を出所することになる。彼女には妹がいるが、ルースが殺人を犯した時点で5歳だったため、名前も変えて里親に出されていた。そんな妹に一目会うべくルースは行動を開始する。

監督はノラ・フィングシャイト
音楽はハンス・ジマー
撮影はギレルモ・ナヴァロ

サンドラ・ブロック(ルース・スレイター)
ヴィンセント・ドノフリオ(ジョン・イングラム)
ヴィオラ・デイヴィス(リズ・イングラム)
ジョン・バーンサル(ブレイク)

2009年にイギリスで放映されたテレビシリーズ「The Unforgivable」のハリウッドリメイク。テレビシリーズ放映後、クリストファー・マッカリー監督、アンジェリーナ・ジョリー主演で話は進んでいたが頓挫し、時を経て2019年にサンドラ・ブロックが自身の映画会社を通じて映画化することが決定。コロナウイルス蔓延によって撮影が中断するなどのトラブルもあったが無事に完成し、2021年12月に全世界向けにNetflixで配信された。

 

シリアスなドラマとして作られ、終盤には一応のどんでん返しも用意されているが、結構突っ込みどころが多い映画。言ってしまうと、「実は保安官を撃ち殺したのはルースではなく、妹のケイティでした」というオチがある。これを終盤に明かすことで粗がたくさん出てくることになる。5歳の女の子がショットガンを撃てるわけがないし、指紋や硝煙反応を調べればルースが撃っていないことは簡単に分かるだろう。ルースが「ケイティの罪」を被ろうとすることは、警察が調べればそれこそ「Unforgivable=許されない」ことだろう。ただ、本作は警察の捜査が杜撰であるとかそういうことを言っている映画ではない。両親もおらず、小さな5歳の妹のために咄嗟の判断で罪を被ったのだろう。しかし、映画内では描かれないものの、頭が冷静になったであろうその後の裁判でもすべて罪を被ったからこそ刑務所で20年を過ごすことになったのであり、そこまで受け入れたのなら妹と一生会えない暮らしも受け入れるべきではないかと思う。5歳の妹が保安官を銃殺してしまうなんて毛頭考えていなかったとしても、結果的に妹と離れ離れの生活を送ることになってしまったのである。「こうなるんだったら、その前に行政からの指示を受け入れるべきだった」とか「銃を使おうとするんじゃなかった」とか後悔する描写もない(服役中にいくらでも考えてことだとは思うが)。つまり、本作は何が言いたいのかがあまり見えてこないのだ。行政が悪であること?元犯罪者が社会から受け入れられないこと?銃社会の怖さ?

 

それから、元犯罪者が社会から厳しい目を向けられるという割には周囲の人間は結構優しいように感じる。ジョンはルースの依頼を受け入れているし、敵意むき出しだったリズもルースが涙を流したくらいで「何があったの?」と親身に聞いてくれる。両親がルースからの手紙を隠していたのをキャサリンは事情を知ってこっそりルースに会いに来てくれるし、ラストで居合わせたキャサリン(ケイティ)もルースを受け入れている。ルースがケイティと繋がる契機となる人物は揃って人が良いだが、ここはもっとシビアだと思う。

 

また、ルース(実はケイティ)に父親を殺された兄弟の話はかなりいい加減な印象だ。ルースが釈放されたことを知ったスティーヴは復讐を考えるキースに当初反対していたが、キースに嗾けられて態度を翻し、自分の妻とキースが白昼不倫をしていた現場を目撃したことが誘拐の引き金になっているように見える。スティーヴが妻子持ちである設定なども含めて彼らがルースに絡む話は決して出来が良いと言えるものではない。

 

物語は大きく変わってしまうが、ケイティが保安官を撃ってしまい、彼女の罪をルースが被った事は冒頭に示したうえで、彼女がその判断を後悔するなどの描写を入れ、出所後はその事実を明かせぬまま、妹の存在は傍から見守ることしかできず、貧困により家族と離れ離れになる可能性のある人たちを助けようとする物語にした方が良かったように感じる(ここまで変えるともはや別の映画になるが)。

 

おそらくケイティが5歳だったころのルースは20歳ごろだと思うが、若さゆえに何も知らずただ抵抗するしかできなかったということもあっただろう。ただ、、あまりその辺りを観客に考えさせる余白や余裕は感じない。それは真相を終盤に明かすという構造に問題があるのだと思う。殺人者ではないのに殺人者として20年間服役し、出所後も元殺人者として生活していた彼女の心理を振り返りながら考えるには終盤に時間が短すぎる。

 

シリアスなドラマもコメディもできるサンドラ・ブロックが疲れた中年を熱演。他のキャストも好印象だが、真相を終盤に明かすことにしたことで、主人公の感情を観客側が処理できぬまま映画が終わってしまった印象であった。

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