【作品#0358】犬神家の一族(2006)

2000年代

犬神家の一族(2006)

2006年の日本映画
上映時間は134分

戦後まもなく、犬神製薬創業者である犬神佐兵衛が死去した。彼の遺言は一族全員が揃わないと発表できないとして、長女松子の息子である佐清の復員を待つことになる。

監督は市川崑
音楽は谷川賢作
撮影は五十畑幸勇

石坂浩二(金田一耕助)
松嶋菜々子(野々宮珠世)
富司純子(犬神松子)
松坂慶子(犬神竹子)
萬田久子(犬神梅子)
尾上菊之助(犬神佐清/青沼静馬)
大滝秀治(大山)
加藤武(等々力)
仲代達矢(犬神佐兵衛)

横溝正史の金田一耕助シリーズを市川崑監督、石坂浩二主演で製作された「犬神家の一族(1976)」の市川崑監督による30年越しのセルフリメイク。市川崑監督は「ビルマの竪琴(1956)」を約30年後に「ビルマの竪琴(1985)」としてセルフリメイクした過去を持つ。石坂浩二と大滝秀治はオリジナルと同役、加藤武もほぼ同役で出演し、三条美紀、三条美紀はオリジナルと別の役で出演した。また、本作の2年後に92歳で亡くなった市川崑監督の遺作ともなった。

 

オリジナルにはないエンドクレジットを含むと、このリメイクはオリジナルよりも上映時間は12分分以上も短いにもかかわらず、オリジナルよりも体感時間はえらく長く感じた。ほぼ同じ脚本で製作しており、オリジナルを観た人なら結末も知っているわけだからという理由だけではないだろう。

 

まず、キャスティングが大きな問題だろう。何と言っても松嶋菜々子がまるで合っていない。珠世の役はどう考えても松嶋菜々子ではないだろう。また、那須ホテルの女中を演じた深田恭子も明らかに現代人で戦後のホテルの女中には全く見えず、ミスキャストだろう。それから、オリジナルでは原作者の横溝正史が演じた那須ホテルの主人役を三谷幸喜が演じているのもまるでダメだ。横溝正史は「病院坂の首縊りの家(1979)」の冒頭と最後にそこそこセリフのある役を演じていたが、まるで素人だったため、オリジナルのちょい役でも多少浮いていた。本作の三谷幸喜は那須ホテルの主人じゃなくてただの三谷幸喜なんだよね。それに、三姉妹では萬田久子が他の二人に比べると間違いなく演技力や存在感で劣っているのが明らかである。それと、オリジナルで俳優に存在感のなかった佐武と佐智は本作でも同様に存在感がない。

 

一方で、大滝秀治がオリジナルから30年経過しても時が止まっているのかと思わせるほど「同じ」だった。また、70代になった加藤武は、オリジナル当時の目の鋭さは影を潜めているが、腹から出る声の張りは当時とそこまで変わっていない印象であった。石坂浩二に関しては、やはりオリジナル当時の雰囲気が合っていたと思うし、年を重ねた金田一耕助が演じるキャラクターという感じもしなかった。

 

それから、演出面もやや古びている印象はある。オリジナルでも見られた癖のある編集や映像を割とそのままリメイクでも使用している。これらの演出は70年代のややザラっとしたフィルム感もと相性が良かったように思うし、同じ戦後を描いた映画とは言え30年の時を経て同じ撮り方というのも違うかな。

 

調べたところによると、本作のリメイク企画の発案はプロデューサーらしいが、果たして市川崑監督当の本人はどう考えていたのだろう。

「犬神家の一族(1976)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第1作
「悪魔の手毬唄(1977)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第2作
「獄門島(1977)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第3作
「女王蜂(1978)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第4作
「病院坂の首縊りの家(1979)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第5作
「犬神家の一族(2006)」…市川崑監督、石坂浩二主演による金田一耕助シリーズ第1作のリメイク

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