【作品#0411】ザ・ロストシティ(2022)

2020年代

ザ・ロストシティ(原題:The Lost City)

2022年のアメリカ映画
上映時間は112分

新作の小説を宣伝するツアーに参加した小説家のロレッタだったが、大富豪のフェアファックスに南の島へと連れ去られてしまう。フェアファックスはロレッタの小説を読み、古代都市ロストシティの場所を知っていると信じており、南の島で発見された謎の文字の解読を迫られる。

監督はアダム・ニー/アーロン・ニー
製作はサンドラ・ブロック
音楽はパイナー・トプラク
撮影はジョナサン・セラ

サンドラ・ブロック(ロレッタ)
チャニング・テイタム(アラン)
ダニエル・ラドクリフ(フェアファックス)
ブラッド・ピット(ジャック)

ブラッド・ピットが主演する「ブレット・トレイン(2022)」にサンドラ・ブロックがカメオ出演し、その後、サンドラ・ブロックが主演する本作にブラッド・ピットが出演する形となったようだ。本国アメリカでは初週初登場1位となり国内だけで1億ドルのヒットを記録した。

 

本作はロバート・ゼメキス監督の「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷(1984)」によく似た話である。女性小説家が秘宝を巡って誘拐され、男が助けにやって来るという話はそっくりである。さらにはその「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷(1984)」は「レイダース/失われたアーク(1981)」に影響を受けて作られた冒険ものである。本作は大量の蛇に囲まれている場面から始まり、「レイダース/失われたアーク(1981)」でハリソン・フォードが大量の蛇に囲まれる場面があったことを思い出す。冒頭からかつての冒険映画のオマージュを盛り込んでおり、こういう映画を目指していると冒頭に明示した割には冒険ものとしてはかなりいい加減な出来だとは感じる。

 

ブラッド・ピットは最初の場面では電話で声だけしか聞こえないが、どうやら何かを食べながら話していることが分かる。これはブラッド・ピットが出演した「ファイトクラブ(1999)」でのエドワード・ノートンとの電話シーンを思い出す。また、ブラッド・ピットが初めて画面に映る場面でもブラッド・ピットは食事をしているが、これは「オーシャンズ11(2001)」の登場シーンを思わせるものがある。また、椅子に縛られたロレッタの足元にジャックがいる場面は「スピード(1994)」でキアヌ・リーヴスがサンドラ・ブロックの足元に爆弾がないか確認する場面のオマージュであろう。そして、その「スピード(1994)」でキアヌ・リーヴスが演じたキャラクター名もジャックだった。本作にはこういった映画ファンをニヤッとさせる演出がある。

 

ただ、本作はこのブラッド・ピットの存在こそが問題だろう。残念ながら本作で一番魅力的なキャラクターは何を隠そうブラッド・ピットが演じたジャック・トレイナーであると感じる。救世主の如く島に現れ、登場シーンはスローモーションまで使われる厚待遇。大型車の隣にある小型車で現場に駆け付けると、ことごとく敵をやっつけていく。さらには、アランの用意したセリフをロレッタに言っている最中に敵の銃撃で殺されてしまう。こんなスーパーマンが気を抜いたせいで殺されるところは不可解だが、キャラクターとしてはおいしいにも程がある。映画鑑賞後に予告編を見直してみたが、あくまでサンドラ・ブロックとチャニング・テイタム主演で、良いところでブラッド・ピットが助けに来るみたいになっているが、残念ながらこの展開は序盤で終わってしまう。これを序盤に持ってきたことで、以降の展開を最も魅力的なキャラクター抜きで行動しなければならないわけである。

 

以降は、サンドラ・ブロックとチャニング・テイタムによるよくある冒険ものになっており、序盤から右肩上がりに面白くなっていくわけではない。結局のところ主演2人によるロマンスを描きたかったのだとは思うが、冒険要素があまりにもいい加減である。どうすればお宝に辿り着くかについては本気で描くつもりはなかったようだ。中でも、石の墓に閉じ込められた時にレンチが偶然にも残されているって、それは「es【エス】(2001)」で箱に閉じ込められた時にドライバーが偶然あるのと同じくらい酷いと感じた。

 

また、本作は年上の女性と年下の男性の冒険ものなので、「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷(1984)」やあるいは「6デイズ/7ナイツ(1998)」の冒険映画の男女を入れ替えた設定になっている。遡れば「アフリカの女王(1951)」や「モガンボ(1953)」などの冒険映画も年上の男性と年下の女性という組み合わせであった。これを年上の女性と年下の男性という2人に入れ替えて、女性が男性に、あるいは男性が女性に対して抱く偏見を指摘する場面こそあるが、取って付けた感は強い。ちなみに、ロレッタがアランの身体についたヒルを取り除く場面は、「6デイズ/7ナイツ(1998)」でハリソン・フォードがアン・ヘッシュの服の中に入った蛇を取り除く場面を思い出す。

 

それに悪役となるフェアファックスは、助けにやって来たベスが知り合った男が捕まえることになる。そこはロレッタとアランがやっつけないとダメだろう。というかこのベスというキャラクターは本作に必要だっただろうか。このサブキャラの描写も映画の進行を遅らせるだけであり、別にベスなしで話を終わらせることだってできたはずである。

 

また、本作の作風を考えると、ジャック・トレイナーが撃たれる場面でアランの顔が血まみれになる描写は避けるべきだろう。それ以外の場面で血が流れることもなければ誰かが死ぬ描写もないわけである。その場面だけ急にスプラッターみたいになるのも違和感がある。

 

本作は本当にくだらない下ネタとか、良くも悪くものんびりした映画である。そのテイストが合う人には合うだろうが、にしてももっとどうにかできただろうとは思う。コロナや戦争といった暗いご時世の中、ポップなテイストの映画だったのでアメリカではそこそこ受けたのではないだろうか。にしてもブラッド・ピットのようなビッグネームをどう使うかは非常に難しい問題だな。

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