【作品#0286】アンセイン~狂気の真実~(2018)

2010年代

アンセイン~狂気の真実~(原題:Unsane)

2018年のアメリカ映画
上映時間は98分

2年ほどストーカー被害に悩まされていたソーヤーは、近所の病院へ行きカウンセリングを受ける。そこで自殺を考えたことがあると答えて、書類にサインしてしまったことから、精神科に即日入院させられることになってしまう。

監督はスティーヴン・ソダーバーグ
音楽はトーマス・ニューマン
撮影はピーター・アンドリュース

クレア・フォイ(ソーヤー)
ジョシュア・レナード(デヴィッド・ストライン)
ジュノー・テンプル(ヴァイオレット)
エイミー・アーヴィング(アンジェラ)
マット・デイモン(ファーガソン刑事)

スティーヴン・ソダーバーグがたった150万ドルの予算で完成させた本作は日本では劇場未公開であった。撮影期間はたったの10日で、iPhone7Plusが撮影用カメラとして使用された。

 

冒頭から普通ではない位置からのカメラで居心地の悪さが表現されていた。「仕事で急いでいる」と主人公が言っているのに、男が部屋まで歩いて誘導する様子をじっくり描くところもなかなか意地悪だ。

 

狂気でない人間が精神病院に入院することになる映画といえば、ジェームズ・マンゴールド監督の「17歳のカルテ(1999)」を思い出す。そして、本作は精神病院監禁ものにストーカーものを掛け合わせた作品になっている。非常に噛み合わせの良い組み合わせだと思うが、その1+1の足し算が2以上にはなっていない印象はある。特に、精神病院に記者を送り込んでいたことからの急展開はちょっと出来すぎた話だと感じる。これがなければ主人公は外に出られなかった可能性もある。また、この精神病院への事実上の強制入院もデヴィッドの策略かと思ったがそうではなく、あくまでソーヤーを追ってわざわざ精神病院の職員に成りすましているということね(ここは深読みしすぎてしまった)。

 

主人公の言っていることが本当なのか嘘(狂気)なのか。信用できない語り手が主人公のソダーバーグ作品と言えば「インフォーマント!(2009)」であり、その「インフォーマント!(2009)」で主演したマット・デイモンも顔を見せている。ただ、主人公の言っていることが本当であることは割と早い段階で観客には示している。ストーカーものでもあるのだが、主人公を信用できるかどうかはもう少し引っ張っても良かったのではないかと思う。

 

精神病院監禁ものとして見れば、他人を安易に信用してはいけないという教訓があり、特にネットなんかで規約をすべて読まずに「同意する」を選択するのが当たり前になっている時代には改めてその怖さを感じさせられる。また、ストーカーものとして見れば、負った傷は一生治らないかもしれず、場合によっては本当に精神病院行きになる可能性があり、それを匂わせる終わり方は秀逸だと感じた。「ボーンシリーズ」でジェイソン・ボーンを演じたマット・デイモンが刑事役で、身を守るための心得を手早く説明してくれるが、被害に遭っている側があれもこれも身を削り、時にお金をかけなければならないのはあまりにも不公平であると感じる。ただ、ストーカー被害も実害が出るまで警察が動いてくれないのは日本も同じだし、なかなか解決策の見つからない問題である。

 

エンディングも主人公の静止画の上にクレジットを手っ取り早く見せるという、クラシカルなものであることも好印象。当たりはずれの多い印象のソダーバーグだが、本作は低予算のジャンル映画として及第だったし、ソダーバーグが割とよく扱うテーマをうまく表現できていたのではないかと感じる。

①ソフト版

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