タイトル
ビリーブ 未来への大逆転(原題:On the Basis of Sex)
概要
2018年のアメリカ映画
上映時間は120分
あらすじ
ルース・ベイダー・ギンズバーグは男性ばかりのハーバード大学法科大学院に入学した。食事会では学部長が女性差別を平気でしている環境であった。
スタッフ
監督はミミ・レダー
音楽はマイケル・ダナ
撮影はマイケル・グレイディ
キャスト
フェリシティ・ジョーンズ(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)
アーミー・ハマー(マーティン・ギンズバーグ)
ジャスティン・セロー(メル・ウルフ)
キャシー・ベイツ(ドロシー・ケニヨン)
サム・ウォーターストン(アーウィン・グリスウォルド)
感想
1993年に女性としては史上2人目となる、アメリカ合衆国連邦最高裁判事に就任したルース・ベイダー・ギンズバーグの伝記映画。映画の最後には本人が出演している。また、脚本を務めたダニエル・スティープルマンは、ルースの甥である。なお、ミミ・レダーの前作「ザ・エッグ~ロマノフの秘宝を狙え~(2010)」はアメリカでは劇場公開されなかったため、彼女にとって劇場公開作品としては「ペイ・フォワード 可能の王国(2000)」以来、18年ぶりとなった。
まず、いい加減な邦題にげんなりしてしまう。原題は「On the Basis of Sex」であり、直訳すると「性別に基づいて」となる。
本題(裁判シーン)に入るまでが長い。中盤くらいまではルースがハーバード大学に入学してから、夫のガン、コロンビア大学への移籍、娘との関係、卒業後に仕事が見つからず大学で教授になる道を選ぶところをかいつまんで描いていく。それが終わるとようやく、最後の裁判に関する訴訟について知ることになる。冒頭に、ルースが法律の中に性差別があることを是正しようと思う印象的な出来事を一つ入れて、あとは本題に入るべきだったと思う。冒頭からの展開は足早で薄っぺらくなるくらいなら省略しても良かったと思うくらいである。夫は癌になったのに次のシーンでは治っているし、関係がうまくいっていなかった娘とは何となく仲直りして娘も知らぬ間に法学の道へ進んでいる。
足早に省略した弊害となるのは、キャシー・ベイツ演じたドロシーに会いに行った一連の場面だろう。ドロシーに「まだ時代じゃない」と言われて建物を出た後、ルースの娘がからかってきた男に強気な口調で言い返す場面がある。その頼もしい娘を見て、ルースは「時代は変わったんだ」と言っている。普段娘のことを気にかけていなかったという意味合いも含んでいるとしても、娘というたった一例で時代の変化を判断するのはいかにも浅はかである。教授という仕事柄頭でっかちになることも指摘されたルースが自ら外を見る場面もあまりないし、この判断に至る積み重ねが全然ない。ただ、デモをやっている学生をルースが目にする場面があったわけで、どうもちぐはぐである。
本作で一番面白かったのは模擬裁判のところだった。弁護士としての経験のないルースにとって模擬裁判を行ったことで課題はたくさん見つかったのに、それがほとんど改善されないまま最後の裁判シーンになっていく。模擬裁判の反省を受けて、夫と共に1つずつ課題を解決させていく過程は描くべきだった。結局、最後の裁判シーンでは感情的になってしまい、模擬裁判と同じミスを繰り返しており、非常に印象が悪い。練習と本番が違うのは大前提として、もっと練習しておけば良いじゃないかと思ってしまう。そんな彼女が何をもって裁判で事実上の勝利を収めたのかはさっぱり伝わってこない。さらにルースの大学生時代からをかいつまんで描いて主題がぼやけているのと同様に、この裁判でルースが何を目指したのかも非常にぼやけている。介護の控除を受けられない男性を利用している印象さえある。
肝心の主演したフェリシティ・ジョーンズもいまいち。差別される女性が立ち上がるというよくある映画にしちゃったもんだから、ルース・ベイダー・ギンズバーグという超人的人物の伝記映画とは言えないものになっている。これだったら同年公開のドキュメンタリー「RBG 最強の85才(2018)」を見ることをお勧めする。
関連作品
「RBG 最強の85才(2018)」…本作と同年に公開されたルース・ベイダー・ギンズバーグを追ったドキュメンタリー映画。
「アラバマ物語(1962)」…本作中でルースが娘とこの映画の主人公を巡って議論する場面がある。
吹替情報
①ソフト版
音声配信
Spotifyはこちら
Apple Podcastはこちら
Amazon Musicはこちら
YouTubeはこちら
取り上げた作品の一覧はこちら


コメント