【作品#0474】パトリオット(2000)

2000年代

パトリオット(原題:The Patriot)

2000年のアメリカ映画
上映時間は164分

18世紀中ごろのアメリカ。植民地がイギリス帝国への独立戦争に加わる中、マーティン一家のクラスサウスカロライナ植民地も戦いに参加するか否かで揺れていた。

監督はローランド・エメリッヒ
音楽はジョン・ウィリアムズ
撮影はキャレブ・デシャネル

メル・ギブソン(ベンジャミン・マーティン)
ヒース・レジャー(ガブリエル・マーティン)
クリス・クーパー(ハリー・バーウェル)
トム・ウィルキンソン(コーンウォリス)
ジェイソン・アイザックス(ダヴィントン大佐)

「プライベート・ライアン(1998)」でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたロバート・ロダットが本作の脚本家として雇われ、同じくジョン・ウィリアムズも音楽の担当で雇われている。アカデミー賞では3部門にノミネートされたが、受賞はならなかった。

 

実は映画化されることの少ないアメリカ独立戦争。本作で描かれるのは、アメリカ東海岸沿いの13植民地とイギリス帝国の戦いである。ちなみに、そのイギリス帝国の描かれ方に対してイギリス内では批判の声も相当上がったようだ。そして、「パトリオット(=愛国者)」と題された本作の監督はドイツ生まれのローランド・エメリッヒで、主演のメル・ギブソンは生れこそアメリカだがオーストラリア育ちの俳優であり、さらにその息子を演じたヒース・レジャーはオーストラリア出身の俳優である。メインキャストにアメリカ人以外のキャストが多数参加しているのは、おそらくこれは意図的なものだと感じる。アメリカはヨーロッパ人がアメリカ大陸を発見し、ネイティブアメリカンを次々に虐殺し、戦争などを繰り返してできた移民国家である。そういった歴史の浅さ、虐殺の歴史、アメリカ人と言えど自分たちのルーツはこのアメリカではないどこかであるというコンプレックスを考えると、アメリカ以外の国の育ち、出身の俳優がこの独立戦争を戦う人たちとして登場することにはある種の皮肉にも見える。さらにはそれをドイツ生まれ、ドイツ育ちのローランド・エメリッヒという外者が監督するのだから面白い。といっても、ローランド・エメリッヒ監督は「インデペンデンス・デイ(1996)」にしたって「ホワイトハウス・ダウン(2013)」にしたって右寄りの人であることは分かる。ある種の戦意高揚みたいな話でもあるので、その辺りの利害関係も一致した結果だろう。

 

また、主人公のベンジャミンの置かれる状況は、演じたメル・ギブソンが監督/主演した「ブレイブハート(1995)」をまんま思い出す。亡くした家族のための戦いこそ、メル・ギブソンが「マッドマックス(1979)」から演じてきた代表的なキャラクターでもある。

 

戦争で精神的な傷を負った主人公が独立戦争よりも家で家族を守ることを優先しようとする。ところが血気盛んな息子は知り合いが戦場に繰り出したのに自分だけ戦場に行けないことに憤って父親の反対を押し切り戦場に繰り出す。ところが、息子が戦場から傷を負って帰って来て、さらには戦火が目の前にまで迫ってくる。そして目の前で別の息子が殺されてしまう。ついに主人公の怒りが頂点に達し、民兵に扮して次々にイギリス軍をやっつけていく。そのイギリス兵を殺す様は容赦がなく、それを見た小さな子供たちはドン引きしている。敵を生かしておくことは後の脅威になるから全員殺さなければならないと言いたげでもある。以降は、主人公ベンジャミン対ダヴィントン大佐という、個人対個人の戦いの様相を呈していく。映像的には迫力のある戦闘も描いており、キャレブ・デシャネルの撮影やジョン・ウィリアムズの音楽も相まって、あくまで独立戦争を題材にしているという様相こそ呈しているのだが。

 

最終的に主人公は戦地の中央にアメリカ国旗を掲げて、戦闘に勝利する。この戦いに参加する者たちが、ネイティブアメリカンを残虐した歴史なんてこの映画には存在しない。今この土地に立っている者こそその地の支配者であり、その地を守るためであればどんな犠牲を払ってでも戦わなければならないのだ。これで「パトリオット(=愛国者)」を描くにしては、あまりにも単純な、そして超個人的な復讐劇という印象は拭えない。

①<ローランド・エメリッヒ(監督)/ディーン・デヴリン(製作)>

監督のローランド・エメリッヒと製作のディーン・デヴリンによる対話形式の音声解説。製作の経緯、起用した俳優の決め手、俳優によるアドリブ、撮影時の苦労話、ロケ地の話などをしてくれる。本作で描いたテーマなどについてはあまり深堀されないので、やっぱり独立戦争を題材にした娯楽作なんだということが分かる。

①ソフト版
②テレビ東京版(2003年7月3日「木曜洋画劇場」)※ソフト未収録

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