【作品#0148】サイコ(1998)

1990年代

サイコ(原題:Phycho)

1998年のアメリカ映画
上映時間は105分

不動産屋で働くマリオンは、客から預かった4万ドルを銀行に運ぶことになるが、経済的な理由で結婚に踏み切れずにいるサムのところへ持ち逃げを図る。

監督はガス・ヴァン・サント
音楽はバーナード・ハーマン
撮影はクリストファー・ドイル

ヴィンス・ヴォーン(ノーマン・ベイツ)
アン・ヘッシュ(マリオン・クレイン)
ジュリアン・ムーア(ライラ・クレイン)
ヴィゴ・モーテンセン(サム)
ウィリアム・H・メイシー(アーボガスト)
フィリップ・ベイカー・ホール(アル・チェンバース)

ヒッチコックの代表作「サイコ(1960)」をこれでもかと忠実に再現した異色のリメイク。オファーを受けたロバート・フォスターは送られてきた脚本がヒッチコック版のものだと思って問い合わせたことが何よりも物語っている。その再現ぶりに観客の反応も悪く、6,000万ドルの予算に対し、3,700万ドルしか売り上げることができなかった。また、批評家からも酷評され、ラジー賞では最低リメイク賞、最低監督賞の2部門を受賞してしまった。

 

カット割りも脚本もほぼ同じというリメイクはかつて、そして以降もここまでのものは観たことがない。もはや実験的ともいえるが、比べ甲斐もあるし、議論のし甲斐もある。カラーになったことでその色使いも見応えはある。

 

主人公のノーマン・ベイツ役は、普通の若者だったアンソニー・パーキンスから体格の良いヴィンス・ヴォーンへと変わった。精神の不安定と体格の良さ、健康っぽい見た目は必ずしも合致するものではない。精神の不安定さを鍛えることで補おうとしたとも取れる(強引かもしれないが)。オチも分かった上でのリメイクなので、あえてそれっぽい人をキャスティングしないというのも一つの方法であると感じる。

 

また、マリオン役は当時30代前半だったジャネット・リーから、当時20代後半のアン・ヘッシュへと変わった。お金の問題に困り結婚に焦っている女性が目の前の大金に目がくらむという意味ではオリジナルのジャネット・リーの方が切迫感は伝わって来た。アン・ヘッシュはいかにもヒッチコック好みのブロンド美女だが、オリジナルにあった焦燥感は失われてしまったと言って良い。

 

そして、マリオンの妹ライラを演じたのはジュリアン・ムーアで、姉を演じたアン・ヘッシュよりも実年齢で9歳も年上である。しかも初登場の場面では、イヤホンをしてリュックサックを背負っており、オリジナルでは小さなバッグを持っていたことを考えるとより行動的な女性として描こうとした工夫は見える。さらには終盤の地下室の場面では最後に蹴りを入れており、姉のマリオンを心配する気持ちがより強調されているように感じる。

 

それから、カラー作品になっているが、同一画面内に同色かあるいは対照的な色使いをすることでどこかモノクロっぽさを演出しようとしていたと感じる。マリオンの部屋はピンク系の淡い色、ベイツ・モーテルの仲は暗めの色で統一されていた。

 

また、上映時間はオリジナルより4分短くなっている。特に終盤の医師による説明はかなり省略されている。ただ、オリジナルにはなかったエンドクレジットが本作には数分追加されているので、いくらオリジナルに忠実なリメイクと言えど、実はかなり削られておりテンポも良い作品と言える。

 

よく見ていないと気付かない改変箇所は、マリオンとアーボガストが殺される場面でサブリミナル的に追加された短いカットだろう。この追加された短いカットは意図としてよく分からず、「後で議論してください」と言わんばかりに感じる。これに関してははっきり言って改悪と言える。他にもオリジナルになかったエンドクレジットでの音楽が、ダニー・エルフマンによるオリジナル音楽の編曲なのだが、これもあまり良くない。

 

言いたいことがある作品ではあるが、この実験的な取り組みは評価したいと思う作品ではある。

「サイコ(1960)」…シリーズ1作目
「サイコ2(1983)」…シリーズ2作目
「サイコ3/怨霊の囁き(1986)」…シリーズ3作目
「サイコ4(1990)」…シリーズ4作目※テレビ用映画
「サイコ(1998)」…シリーズ1作目のリメイク
「ヒッチコック(2012)」…本作製作時の話を映画化
「ベイツ・モーテル(2013-2017)」…ノーマン・ベイツの少年時代を描いたテレビシリーズ

①ソフト版

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