【作品#0467】セイント(1997)

1990年代

セイント(原題:Saint)

1997年のアメリカ映画
上映時間は116分

国際的な泥棒となったサイモンは、ロシアの石油王トレティアックの金庫からマイクロチップを盗み出す。数日後、そのトレティアックからサイモンは低温核融合の方程式をラッセル博士から盗み出すように依頼される。

監督はフィリップ・ノイス
音楽はグレーム・レヴェル
撮影はフィル・メヒュー

ヴァル・キルマー(サイモン・テンプラー)
エリザベス・シュー(エマ・ラッセル)
ラデ・シュルベッジア(イワン・トレティアック)
ヴァレリー・ニコラエフ(イリヤ・トレティアック)

ロジャー・ムーアが主演した1960年代のテレビシリーズ「セイント 天国野郎」のリメイクにして映画化作品。そのロジャー・ムーアはカーラジオから聞こえる声で出演している。

 

本作は後にサイモン・テンプラーと名乗るジョン・ロッシが香港の孤児院で生活を送る少年時代から映画は始まる。この少年時代を演じた子役の男の子がヴァル・キルマーになかなか似ており、少年の顔から大人の顔に移り変わる様子にはちょっとした感動を覚える。ただ、この冒頭の場面はほとんど必要性を感じない。後にサイモンが多くの偽名を名乗るのだが、それが聖人(つまり原題の「Saint=聖人」)から来ているところと、中盤に屋上から下を見下ろす場面ぐらいしか関係していない。別に大人のサイモンから始めても何の問題もなかったように感じる。

 

大人の場面に移行すると、サイモンはロシアの石油王からマイクロチップを盗むことになる。ここでは、サイモンが侵入した窓を開けっぱなしにしたことから、石油王イワン・トレティアックの息子イリヤに怪しまれて追われることになる。何とも間抜けな泥棒である。様々な機器を駆使してマイクロチップを手にすると、イリヤに見つかってしまう。そこでは、あまりキレが良いとは言えない格闘シーンの後、サイモンは建物から飛び降りて事なきを得る。少なくともこの場面だけ見ると、優秀な泥棒には見えない。元々のシリーズをロジャー・ムーアが演じていたくらいだから、比較的軽めのタッチの作品だったとは思う。だからこれくらいで良いのかもしれんが、「してやった感」は全くなく、涼しい顔をしていても「いや、実際ギリギリで、何ならほぼアウトやったやん」と突っ込みたくなる。まあ、その後も基本的にはずっとこんな感じで進んでいく。

 

そして、今度はラッセル博士から低温核融合の方程式を奪うことになり、そのラッセル博士が超美人で2人はあっさりと恋に落ちてしまう。あまりにもあっさりしていたので、ラッセル博士が「実は…」という展開が待っていると思いきや全くそんなこともなく、本気で惚れていたという話のようだ。ちょっとカフェで話したくらいで自分が研究を進めている低温核融合の方程式の話までべらべら話してしまうんだから、サイモンが凄いってことなんだろう。ただ、残念ながら本作のヴァル・キルマーからは惚れ惚れするような魅力を感じない。だから、ラッセル博士も甘い言葉に騙される軽いキャラクターに見えてしまうんだよな。

 

泥棒の話もロマンスの話も基本的には上述のような比較的軽い感じで進んでいく。なので、映画の着地点が決まっていながら、そこに至るまでの展開が割と行き当たりばったりであると感じる。それも主人公をあまり有能に感じないポイントでもあるわけで。タイトルにもなっている「Saint=聖人」に主人公が最終的になるという物語なのは分かるが、主人公の内面の変化はあまり見て取れない。さらに、主人公が変装することで姿を変えることの方が印象に残ってしまう。

 

アクションやサスペンスの演出も、理詰めした印象はなく、偶然助かったとか運が味方した展開も多すぎる印象はある。どの観点から見ても凡作という印象は拭えない。

①<フィリップ・ノイス(監督)>

監督のフィリップ・ノイスによる単独の音声解説。DVDのジャケット等にはフィリップ・ノイスによる音声解説と書かれているが、2か所ほど本作の視覚効果を担当したロバート・グラスモアも話している。監督の話は、ロシアでのロケ地探し、他の映画を撮影中のヴァル・キルマーに会いに行った話、「メソッド演技」を取り入れてヴァル・キルマーがそれを実践した具体的な場面の話、音響と音楽で工夫した場面の話、本作の音楽に坂本龍一が相応しいと思ったが連絡が取れずに断念した話など幅広く話してくれる。中でも、字幕よりも吹替がメインになる外国において吹替版の演出にも拘り、極力演じた俳優に似た声の人物を探した話は興味深く、本作の終盤には数分間フランス語での吹替を聞くこともできる。何なら本編よりも音声解説の方が面白かった。

①ソフト版
②テレビ朝日版(2000年4月9日「日曜洋画劇場」)※ソフト未収録

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