タイトル
THE GUILTY/ギルティ(原題:Den skyldige)
概要
2018年のデンマーク映画
上映時間は85分
あらすじ
緊急通報指令室でオペレーターを務めるアスガーは、誘拐されたと通報してきた女性から情報を聞き出し、各所に協力を得ながら事件解決を目指す。
スタッフ
監督はグスタフ・モーラー
キャスト
ヤコブ・セーダーグレン(アスガー)
感想
大手の映画館でかかる映画としては珍しいデンマーク映画。アカデミー賞の外国語映画賞ではデンマーク代表として出品され、最終選考には残らなかったが非常に高い評価を得ており、公開からわずか3年でハリウッドリメイクが製作された。
本作は緊急通報指令室内で物語が終始展開し、カメラが部屋を出たり、回想シーンで別の場面が出てきたりすることもない。また、外部とは電話のみという非常に限られた情報しか得られない密室劇である。勘の良い人ならトリックには気付いただろうが、初見時はすっかり騙された。
ある罪を犯した主人公が半ば左遷のような形で緊急通報指令室内に物理的に閉じ込められている。そして主人公はある枠の中から飛び出したり、あるいは無意識的にその枠を超えようとしたりするところが対照的で面白い。通話禁止の場所で私用電話に出るし、通常の手段を踏まずに捜査を進めようとする。度々連絡を取ることになる交通局の女性との電話では、相手に必要以上の要求をしたことで、「自分の仕事をするように」と言われる。主人公はその職場でのルールや指令室のオペレーターとしてできる役割を超えて活動しようとするが、それが許されることがなく、この部屋の中だけで進行していくところとうまく重ね合わせられている。
また、彼は翌日の証言次第で以前の刑事としての仕事に戻ることができる。つまり本来刑事であり、この緊急通報指令室での仕事はやりたくてやっている仕事ではない。だから主人公は刑事の時の感覚で周囲に指示を出そうとしてしまい、隣のオペレーターとは険悪な雰囲気が漂っている。
そして、その翌日に控えた証言では元相棒と口裏を合わせて嘘をつこうとしていた。どうやら職務中に殺す必要のない人間を殺してしまったということらしい。刑事には正当防衛などの理由がない限りむやみに発砲することは許されておらず、まして安易に殺してしまうことは言語道断である。主人公はそのルールを大きく逸脱してしまった。そして、誘拐されたと思って進めていた捜査も実はそうではなかったことが終盤に明らかになり、主人公の逸脱した様々な行為が原因でまた1人の人間が死ぬところだった。妻がいなくなってしまったのも主人公に原因があるのだろう。そんな主人公が「本来あるべき人間としての姿」を取り戻していく物語としてもよくできていた。部屋の中の赤い光に照らされる主人公も象徴的で印象に残るものであった。
緊急通報指令室という、映画の舞台としてもあまり見かけない場所で、通報が入ってからパソコン画面に表示される内容などにも新鮮味を感じたし、そして何よりデンマーク語という普段聞きなれない言葉に、初めて拝見する俳優たちの映画ということでその新鮮味は大きく増しているのだと感じる。本作の新鮮味という観点で見ると、本作を見た観客ならハリウッドリメイクは良くも悪くも「普通」のよくある映画になっている。
関連作品
「THE GUILTY/ギルティ(2018)」…オリジナル
「THE GUILTY/ギルティ(2021)」…ハリウッドリメイク
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