【作品#0502】パブリック・エネミーズ(2009)

2000年代

パブリック・エネミーズ(原題:Public Enemies)

2009年のアメリカ映画
上映時間は141分

1933年の大恐慌時代のアメリカ。銀行強盗を繰り返していたジョン・デリンジャーは、犯罪者でありながら紙面を賑わすスターになっていた。一方、J・エドガー・フーバーはデリンジャーを逮捕するため、実力ある若手捜査官メルヴィン・パーヴィスをシカゴ支局の責任者に任命する。

監督はマイケル・マン
音楽はエリオット・ゴールデンサール
撮影はダンテ・スピノッティ

ジョニー・デップ(ジョン・デリンジャー)
クリスチャン・ベイル(メルヴィン・パーヴィス)
マリオン・コティヤール(ビリー・フレシェット)
ビリー・クラダップ(J・エドガー・フーバー)
スティーヴン・ドーフ(ホーマー)
スティーヴン・ラング(チャールズ・ウィンステッド)

実在したジョン・デリンジャーを題材にした映画。ちなみに本作に出演したスティーヴン・ラングとジョヴァンニ・リビシは同年「アバター(2009)」でも共演している。

 

マイケル・マンの監督作で、犯罪者と追う側を描いた映画となると「ヒート(1995)」を思い出さないわけがない。冒頭の脱獄シーンで不要な銃撃をしてしまうところ、犯罪者と追う側が劇中一度だけ会話シーンがあるところなどは共通点と言えよう。ただ、実は似た者同士の2人を描いた「ヒート(1995)」とはやや趣の異なる作品である。

 

マスコミを手懐けて庶民から人気もあった犯罪者のジョン・デリンジャーに対して、メルヴィン・パーヴィス含むFBI職員(FBIという呼称は1935年から)らはデリンジャーを捕まえることができずに一般市民からも馬鹿にされていた存在である。デリンジャーの人気ぶりは最低限描かれているが、パーヴィスらが馬鹿にされて追いつめられていく様子は描写として物足らない印象である(下記の音声解説を聞けばある程度納得する部分もあったが)。また、描写の割合では圧倒的にデリンジャーの方が多い。

 

銀行強盗を繰り返し、庶民の人気も得ていたデリンジャーだが、徐々に時代に取り残されていく感覚に陥る。州をまたいで各地の銀行を襲っていたデリンジャーは、仲間だと思っていたシンジケートから協力を拒否され始める。ある男は電話を使ったノミ行為で銀行強盗よりも安全に金を稼いでいた。これは電話が全国的に開通したことも要因だし、また電話が開通したことでFBI側もより捜査状況を把握しやすくなったわけである。

 

一方、幾度もデリンジャーを捕まえ損ねたパーヴィスは過激な行為に手を染めていく。脅迫や拷問などを駆使してデリンジャーの情報を徐々に入手できるようになっていく。ただ、パーヴィスのパートはどうも淡泊な印象である。フーヴァーに依頼してまで連れて来た敏腕捜査官との話もほとんど描かれない。

 

終盤、デリンジャーが警察署の会議室に堂々と入り、自分の資料が貼られたボードを歩きながら眺めるシーンは印象に残る。デリンジャーが死期を悟って自身の過去や仲間を振り返っているようでもある。その後、映画館でクラーク・ゲイブル主演の「男の世界(1934)」を見たのは史実通りだが、そこで切り取られる登場人物の会話シーンはやや狙い過ぎな印象がある。

 

また、もう1人の重要なキャラクターがデリンジャーの女となったビリーである。彼女は「父親がフランス人で母親がネイティブアメリカンであり、それを知ると男たちが逃げる」と話しているが、デリンジャーは「そんなことは気にしない」と言っている。そんな彼女を受け入れたからこそ2人は結ばれることになるのだろうが、彼らの描写はどこか淡泊である。これほどの美女だったら出自なんて気にしないと言う男がいてもおかしくはない。この組み合わせは「ヒート(1995)」のロバート・デ・ニーロ演じたキャラクターと書店の店員イーディ、「マイアミ・バイス(2006)」のコリン・ファレルとコン・リーなどにも通じるが、彼らの出会いをそこまでドラマチックに描かないのはマイケル・マン監督の特徴なのだろう。ただ、重要なキャラクターだからもう少し丁寧に描いてあげても良かったんじゃないかとは思う。

 

マイケル・マン監督の前作「マイアミ・バイス(2006)」でも感じたが、分かりやすい娯楽性はどんどん削ぎ落とされ、俳優にキャラクターの心情を表現させる描写が多い。マイケル・マン監督なりに相反する2人の生きざまを描いた作品だが、こちらもそこまで心に響くものは感じなかった。

①<マイケル・マン(監督)>

監督のマイケル・マンによる単独の音声解説。当時の事情について詳しく調査した話、事前に俳優と入念に打ち合わせをした話、当時のアメリカ内を再現するための工夫、刑務所などロケ地の話、監督なりに考えるデリンジャーの心理などについて語ってくれる。

①ソフト版

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