【作品#0444】25時(2002)

2000年代

25時(原題:25th Hour)

2002年のアメリカ映画
上映時間は135分

翌日に刑務所への収監が迫るモンティは、彼女のナチュレルと幼友達のジェイコブ、フランクから送別会を開いてもらうことになる。

監督はスパイク・リー
製作はトビー・マグワイア
音楽はテレンス・ブランチャード
撮影はロドリゴ・プリエト

エドワード・ノートン(モンティ)
フィリップ・シーモア・ホフマン(ジェイコブ)
バリー・ペッパー(フランク)
ロザリオ・ドーソン(ナチュレル)
ブライアン・コックス(ジェームズ)
アンナ・パキン(メアリー)

デヴィッド・ベニオフの小説「25時」の映画化。当初はトビー・マグワイアが主演予定だったが、「スパイダーマン(2002)」への出演を優先することになり本作にはプロデューサーとして携わっている。また、本作は豪華キャストにニューヨークロケをしたにもかかわらず、キャストのギャラを低く抑えたことでたったの500万ドルで製作されることになった。ちなみに、主演したエドワード・ノートンは本作の同年の「レッド・ドラゴン(2002)」でもフィリップ・シーモア・ホフマンと共演している。

 

麻薬の売買という犯罪に手を染めたモンティと、それを知りながらも黙認していた友人のジェイコブ、フランク、彼女のナチュレル、それからモンティの父ジェームズの物語である。「もし自分の親友/恋人/家族が犯罪に手を染めたらあなたはどう行動できますか」と問うているように感じる。誰しもが他の誰かの犯罪を見て見ぬふりをして生きている。それは親友や恋人、家族故に追求できないこともある。ただ、モンティが鏡の前の独白の最後に言っているように、自業自得でしかない。モンティは他人の目を引きたくて、あるいは本当は止めてほしくてドラッグの売買をしている訳ではないだろう。モンティも30歳を過ぎた大人である。

 

モンティは24時間後に刑務所に収監されることになり、7年間もの刑務所暮らしが待っている。モンティの一番の心配事は「掘られないか」どうかである。彼を捕まえたDEAの捜査官が言っていたように、男前のモンティは他の受刑者から狙われるかもしれない。狙われないためのせめてもの悪あがきでモンティは親友フランクを挑発して自分の顔を殴らせることになる。この場面はエドワード・ノートンが主演した「ファイトクラブ(1999)」を思い出さないわけがないのだが、罪を犯した自分を罰してもらうようでもある。ところが、こんなことは上述のように悪あがきでしかないのだ。後に事情を知らない父のジェームズから「1か月も経ったら傷は良くなる」と言われてしまう。もし顔の傷のおかげで受刑者の男たちから狙われないのだとしたら、1か月も経てばそれも意味がなくなってしまうのだ。

 

父のジェームズは最後の瞬間までモンティに逃亡を勧める。息子の罪を見て見ぬふりをして、おそらく息子の稼いだ金で自分の酒場を買ったことだろう。モンティが収監されると言うことは自分も罰せられるのと同じである。結局、何もできない父が自分の罪から逃げるように逃亡を促すところも悲しい話である。さらに、父の運転する車を走りながらモンティの「もしもこのまま逃げ出して幸せな生活を送れたら…」という妄想が始まる。人間誰しも「あの時別の選択肢を取っていれば…」なんて思うことはある。30歳を過ぎた大人が薬の売買で捕まり7年の刑務所暮らしが待っている。何をどうしたって過去は変えられないし、30代後半に社会復帰したって何ができるのか。父親は死んでいるかもしれないし、親友も今まで通り接してくれるかもわからない、恋人のナチュレルは別の男と結婚しているかもしれない。

 

それでも彼は思い出さなければならないことがある。ボコボコにされたモンティこそ、冒頭でモンティが助けた傷だらけの犬のドイルだろう。モンティは傷だらけの犬を見て当初撃ち殺そうとしたが、まだ生きようとして噛みつこうとするドイルを気に入って飼うことにする。この犬がボコボコにされたのはこの犬のせいではないのだが、たとえ体も心も傷だらけでも、これから7年の刑務所生活が待っていようと生きようとすることはできる。

 

また、911の傷跡を映画内に見ることができる。下記の音声解説でもスパイク・リー監督が言及していたが、これも何かを見逃してきたから起こった事ではないだろうかと関連付けることもできる。豪華キャストの演技アンサンブルを見るだけでも十分に楽しめるが、人の心の奥を刺激する佳作。

①<スパイク・リー(監督)>

監督のスパイク・リーによる単独の音声解説。この音声解説はスパイク・リーが映画の最初から最後まで話しまくるという感じではなく、ところどころで沈黙の時間がある。また、テーマについて深く掘り下げて話すこともほとんどなく、拘ったカメラワークについて言及することが多い。

②<デヴィッド・ベニオフ(原作/脚本)>

本作の原作小説を執筆し、映画用の脚本も手掛けたデヴィッド・ベニオフによる単独の音声解説。上記のスパイク・リー監督による音声解説に比べ、原作小説を著した本人が話しているだけあって、作品のテーマや登場人物の背景、この作品を執筆するに至る経緯などを細かく語ってくれる。作品の理解を深めると言う意味ではこちらの音声解説の方がおすすめである。

関連作品

「X-メン(2000)」…モンティが「X-メンみたいに壁を通り抜けられたら」と話す場面がある。ちなみに本作に出演したアンナ・パキンはこの作品に出演している。
「暴力脱獄(1967)」…ポール・ニューマンが主演した刑務所ものの映画。モンティの家のソファの後ろにポスターが飾ってある。監督の音声解説によると、壁のシミを隠すためにポスターを飾ることになり、モンティの人物像に合う映画のポスターを探し、ポール・ニューマンの許可をもらって飾ることになったそうだ。
「陽のあたる場所(1951)」…モンゴメリー・クリフトが主演した映画。モンティ(モンゴメリー)の名前の由来をジェームズが語る場面でこの作品について触れられる。

①ソフト版

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