【作品#0063】かもめ食堂(2005)

2000年代

かもめ食堂

2005年の日本/フィンランド合作映画
上映時間は103分

フィンランドのヘルシンキで1人で食堂を営むサチエのところへ、いつしか日本人やフィンランド人が訪れるようになる。

監督/脚本は荻上直子

小林聡美(サチエ)
片桐はいり(ミドリ)
もたいまさこ(マサコ)

フィンランドで始めた食堂には開店して半年してようやく1人目のお客さんがやって来たというのに、サチエはお金のことなんて全く気にしていない。ミドリは恩返しにタダで働かせてくれと言い、マサコはスーツケースをなくしているのに焦る様子もない。お金のことを考えずに生きていけたら幸せだろうが、この映画でそんな夢を見たってお金からは逃げられない。

 

また、登場人物には苗字がない。多くの女性は男性側に嫁いで新たな苗字を授かることになるという現実を考えると、男を排除した本作において登場人物に苗字がないのは意図的だろう。食堂第1号の客は日本かぶれのフィンランド人の青年。彼は日本には興味を持っているが、食堂では厨房から一番離れた窓側の席に座ている。興味は持ってくれてもいいけど、少し離れたところから見守っていてねということか。

 

「やりたくないことはやらない」と言うサチエが監督の写し鏡だとしたら、この監督は「描きたくないことは描いていない」のだろうなと感じてしまう。食堂を営んで、仕事終わりにプールに通い、寝る前にヨガをする女性が監督の考える理想の女性像なのだろうか。サチエは人も良いが、これだとあまり魅力的には見えない。

 

そして本作ラストに、サチエが普段通うプールで見知らぬ人たちから拍手をされる場面が唐突に挿入される。頑張っているサチエへの拍手なのだろうか。それは本来観客がやる行為である。映画内で登場人物に拍手をするシーンを入れるのは極めてリスキーだが、本作はまるで自画自賛していてしまい、気持ち悪さすら感じる。

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