【作品#0427】カメラを止めるな!(2017)

2010年代

カメラを止めるな!

2017年の日本映画
上映時間は96分

山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影を行っていたが、俳優の演技に監督が満足できずにしばらく休憩になる。そこへゾンビが襲い掛かって来る。

監督/脚本/編集は上田慎一郎
音楽は 鈴木伸宏&伊藤翔磨/永井カイル
撮影は曽根剛

濱津隆之(日暮隆之)
真魚(日暮真央)
しゅはまはるみ(日暮晴美)
秋山ゆずき(松本逢花)
竹原芳子(笹原芳子)

監督や俳優を養成するスクール「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾作品で、上田慎一郎監督にとって初の劇場挑戦作品となった。予算が300万円ほどのインディーズ映画であるが、口コミで評判が広がり、最終的に31億円を超えるヒットを記録した。2022年には「アーティスト(2011)」でアカデミー賞作品賞、監督賞を受賞したミシェル・アザナヴィシウス監督によりフランスで「キャメラを止めるな!(2022)」としてリメイクされた。

 

本作は同じことが2度(エンドロールの映像を含めると3度)繰り返しされる。それがただの繰り返しにも後出しじゃんけんにもなっていないし、他のセリフや仕草も繰り返されることで本作の繰り返しによる面白さをより効果あるものに仕立てている。セリフなら「よろしくでーす」「メールしたんですけど」が繰り返されるし、動きならゾンビになる俳優が口に含んだ何かを掛けられたり、目薬を使ったり…とあらゆる細かいセリフや動きが後のどこかに連動しているのは見ていて気持ちいいし、複数回の視聴で新たな発見を見つける楽しさにも繋がっている。

 

設定や伏線も非常に細かく作り上げられていったのが2度、3度と複数回の鑑賞を重ねることで際立って来る。何度も見ていると、俳優の細かい表情や仕草なども一つ一つを丁寧に確認したくなるほど癖になってくる。無名の役者ばかりだがどの役者も顔や動きに魅力があり、まだ知らないだけで良い役者さんがたくさんいるものだと感じさせられた。やっぱり竹原芳子が演じた適当プロデューサーは強烈なインパクトだった。

 

更には日暮一家の面々の成長、特に父親と娘の関係がラストにかけてきれいに仕上がっていく。暴走を始めたら止まらない日暮一家の面々の勢いが映画の勢いに連動して彼らが暴走を始めてから映画がまさに自然にドライブしているような快感がある。

 

普段は控えめで相手に合わせてしまう日暮隆之がついにプロデューサーにキレてしまう場面。でも冷静さを取り戻して娘の前でも平謝りしてしまう。それでも親子で映画を完成させるべく協力することになる人間ピラミッドの場面ではそのプロデューサーの上にこの親子が来るわけだから納得の構図である。また、このピラミッドシーンこそ、映画の最後の撮影になったようで、まさに映画作りの現場と映画のラストが重なってくるし、この1つの作品が完成されていく心地よさは最高のものである。

 

更にはエンドクレジットで第1幕のワンカットの裏側が映される。当然ながら第3幕で裏側を映す様子は別撮りなわけで、本当の裏側が映されることになる。第3幕で第1幕の裏側を見ていた気分で映画が終わると思いきや、「そうだよな。別撮りだよな」と本当にワンカットで撮った苦労が映される。DVDの特典でワンカットの撮影時にカメラマンの後ろに付いて回った上田慎一郎が装着したGoProの映像も見ることができる。

 

ゾンビ映画、ひいては映画全体における最大限の愛情表現で、これほどまでに楽しめる日本発のコメディ映画って他に例を見ないレベルだと思う。日本のインディーズ映画が生んだ最高傑作。

①<上田慎一郎(監督)/浅森沙希奈(松浦早希役)/山口友和(谷口智和役)/大沢真一郎(古沢真一郎役)/市原洋(山ノ内洋役)/しゅはまはるみ(日暮晴美役)/濱津隆之(日暮隆之役)/秋山ゆずき(松本逢花役)/真魚(日暮真央役)/市橋浩治(プロデューサー)/長屋和彰(神谷和明役)/竹原芳子(笹原芳子役)/吉田美紀(吉野美紀役)/合田純奈(栗原綾奈役)/細井学(細田学役)/山崎俊太郎(山越俊助役)

総勢16名によるわいわいバージョン。仕事の都合で冒頭に自己紹介をしていきなり浅森咲希奈が退席するのも笑える。各々が話すこともあるが、監督が話を振って色々みんなでワイワイ話しているという感じである。映画制作現場の楽しさをそのまま体感できるし、監督が当て書きしただけあり演じた俳優が役のまんまというのもオーディオコメンタリーの面白さに繋がっている。本作が好きなら絶対に楽しめて笑えるはず。

②<上田慎一郎(監督)/ふくだみゆき(宣伝ビジュアル/衣装)>

上記2名の実生活では夫婦によるじっくり語りバージョン。映画の舞台裏については各所で語っているので知られた情報も多いかもしれないが、やはり映像を見ながら製作者たちが語っていく様子を文字通り「ワンカット」で収録しているところも面白い。監督の拘った部分を聞いた奥さんが「そこまで考えていたの?」なんて言うところなども彼らの関係性が垣間見えて良い。上記バージョンを聞くくらい好きならこっちだって絶対に聞くべき。

「カメラを止めるな!(2017)」
「ハリウッド作戦(2019)」…本作のスピンオフドラマ
「リモート大作戦!(2020)」…短編映画
「キャメラを止めるな!(2022)」…ミシェル・アザナヴィシウス監督によるフランスリメイク

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