タイトル
007/リビング・デイライツ(原題:The Living Daylights)
概要
1987年のイギリス/アメリカ映画
上映時間は130分
あらすじ
ソ連のKGBコストフ将軍から亡命の協力を受けたジェームズ・ボンドは、チェコスロバキアからオーストリアへの亡命を成功させる。その後コストフ将軍からKGBの新たなトップであるプーシキン将軍がイギリスのスパイを掃討する作戦を企んでいることを知らされるが、殺し屋によってコストフ将軍は奪還させられてしまう。ボンドはMからプーシキン暗殺の指示を受けるが…。
スタッフ
監督はジョン・グレン
音楽はジョン・バリー
撮影はアレック・ミルズ
キャスト
ティモシー・ダルトン(ジェームズ・ボンド)
マリアム・ダボ(カーラ)
ジェローン・クラッペ(コストフ将軍)
ジョー・ドン・ベイカー(ウィテカー)
ジョン・リス=デイヴィス(プーシキン)
感想
12年間で7作品ジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーアが降板し、ティモシー・ダルトンへ若返りが図られたシリーズ25周年記念作品。ティモシー・ダルトンは2代目のボンド役時代から何度となくボンド役のオファーを受けていたがその度に固辞していた。ただ、本作は後にボンド役を演じるピアース・ブロスナンが出演契約直前まで来ていたにもかかわらず、テレビシリーズ「探偵レミントン・スティール」側の強引な契約で白紙に戻り、再びティモシー・ダルトンへオファーされてようやく実現した。
冷戦末期の作品で、旧ソ連がはっきりとシリーズ内で登場したのは本作が最後である。また、その旧ソ連と戦ったムジャーヒディーンは後にタリバンとして台頭する勢力であり、翌年の「ランボー3/怒りのアフガン(1988)」でも登場した。
50代後半までボンドを演じたロジャー・ムーアから、40代前半のティモシー・ダルトンに変わったことで、文字通り若返りを図ったのであるが、と同時にシリーズとして描くべきことや作品のテイストも変えようという試みが見られる作品である。
まず、ボンドの女性関係は大きく変更されている。前作までのロジャー・ムーアのボンドだとすぐにベッドインしたであろう女性たちともなかなかベッドインすることはない。音声解説によると、当時エイズが流行していた時代であり、ボンドが複数の女性と体の関係を持つことを控えたらしい。ロジャー・ムーアとは異なる誠実な雰囲気を持つティモシー・ダルトンだからこそ、そういった設定の変更も受け入れやすいものになっている。
また、コメディやユーモアについては迷いを感じる部分もある。ジョークを飛ばしていたロジャー・ムーアのボンド像に比べると、ティモシー・ダルトンのボンド像は割と真面目でそこまでジョークも飛ばさない。ただ、久しぶりの登場となったアストンマーチンに搭載される武器は今までのボンド映画らしい。前作から2年での公開で、スタッフなども続投が多かったために、この辺りはロジャー・ムーア時代を思わせるものがある。
アクションシーンは一番の見せ場は終盤の飛行機外での格闘シーンであろう。やっつけ方の詰めこそ甘いが、映画全体通して、陸、空、湖上と各地で展開するアクションは見応えがある。ちなみに、モロッコのタンジールで連なった家の屋上を使ったアクションは同じくモロッコのタンジールが登場する「ボーン・アルティメイタム(2007)」を思わせる。
ティモシー・ダルトンという誠実そうな俳優を使ったシリアスさと、今まで通りの娯楽色が混在するなんともアンバランスな作品とも言える。いきなり180度違う作品にもできないので、この作品のようなグラデーションも当然出てくる。そのアンバランスさを楽しむのもこのシリーズの醍醐味かもしれない。
関連作品
「007/ドクター・ノオ(1962)」…シリーズ1作目
「007/ロシアより愛をこめて(1963)」…シリーズ2作目
「007/ゴールドフィンガー(1964)」…シリーズ3作目
「007/サンダーボール作戦(1965)」…シリーズ4作目
「007は二度死ぬ(1967)」…シリーズ5作目
「女王陛下の007(1969)」…シリーズ6作目
「007/ダイヤモンドは永遠に(1971)」…シリーズ7作目
「007/死ぬのは奴らだ(1973)」…シリーズ8作目
「007/黄金銃を持つ男(1974)」…シリーズ9作目
「007/私を愛したスパイ(1977)」…シリーズ10作目
「007/ムーンレイカー(1979)」…シリーズ11作目
「007/ユア・アイズ・オンリー(1981)」…シリーズ12作目
「007/オクトパシー(1983)」…シリーズ13作目
「007/美しき獲物たち(1985)」…シリーズ14作目
「007/リビング・デイライツ(1987)」…シリーズ15作目
「007/消されたライセンス(1989)」…シリーズ16作目
「007/ゴールデン・アイ(1995)」…シリーズ17作目
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)」…シリーズ18作目
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)」…シリーズ19作目
「007/ダイ・アナザー・デイ(2002)」…シリーズ20作目
「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」…シリーズ21作目
「007/慰めの報酬(2008)」…シリーズ22作目
「007/スカイフォール(2012)」…シリーズ23作目
「007/スペクター(2015)」…シリーズ24作目
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)」…シリーズ25作目
「007/カジノ・ロワイヤル(1967)」…本シリーズのパロディ
「ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)」…「007/サンダーボール作戦」のリメイク
「ジェームズ・ボンドとして(2021)」…ダニエル・クレイグに焦点を当てたドキュメンタリー
「サウンド・オブ・007(2022)」…本シリーズの音楽/主題歌に関するドキュメンタリー
吹替情報
①機内上映版1(2024年9月15日スターチャンネルで放送)※ソフト未収録
②機内上映版2※ソフト未収録
③TBS版(1993年9月29日「水曜ロードショー」※正味118分)
④テレビ朝日版(1998年12月27日「日曜洋画劇場」※正味109分)
⑤ソフト版(2006年11月22日発売のソフトに初収録)
※キングレコードから発売の特別版DVDにTBS版/テレビ朝日版の2種類の日本語吹替を収録
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