【作品#0133】007/スカイフォール(2012)

2010年代

007/スカイフォール(原題:Skyfall)

2012年のイギリス/アメリカ合作映画
上映時間は143分

ジェームズ・ボンドはトルコで機密情報の入ったディスクを奪った男を追跡中に、女性エージェントであるイヴが男を狙った銃弾に撃たれ川に落下してしまう。数か月が経過し、ボンドの死を認定したMI6のMは責任を追及されていると、そのMI6本部が爆破されてしまう。銃弾に倒れた後、浜辺で静かに暮らしていたボンドはそのニュースを目にしてロンドンへ戻って来る。

監督はサム・メンデス
音楽はトーマス・ニューマン
撮影はロジャー・ディーキンス

ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
ハビエル・バルデム(シルヴァ)
ジュディ・デンチ(M)
レイフ・ファインズ(マロリー)
ナオミ・ハリス(イヴ)
ベン・ウィショー(Q)
アルバート・フィニー(キンケード)
ベレース・マーロウ(セヴリン)

1962年に始まったシリーズの記念すべき50周年作品。当初は前作「007/慰めの報酬(2008)」以降、すぐに本作の製作に着手していたが、MGMの財政難もあり一時的に製作が中断された。2010年に予算を減らしながらも製作が再開され、ドラマ畑のサム・メンデス監督を招聘した本作は、シリーズ最大となる11億ドルの大ヒットを記録した。

 

まず、映画全体のルックが撮影監督ロジャー・ディーキンスの色全開で、とにかく美しく優雅である。オレンジを使った間接照明、液晶ディスプレイの映像とガラスを巧みに使った上海でのアクションシーン、マカオで船にボンドが乗っているシーンなどうっとりするほどの映像美である。また、終盤の燃えさかるスカイフォールの色合いは、後にサム・メンデス監督、ロジャー・ディーキンス撮影で撮られた「1917 命をかけた伝令(2019)」の終盤の瓦礫が照らされるシーンを思わせる。

 

本作はボンド(あるいはMI6)の「復活」の物語である。一度落ちた男が立ち上がり、生まれ故郷に戻って来るというのは物語の定石ではある。ボンドは1度死んだことにされているし、MI6本部は爆破され、聴聞会では諜報部隊は不要ではないかと追及されている。そのイメージをボンドが物理的に「落ちたり」「下に行ったり」することで文字通り「落ちる」ことを表現し、その落ちたボンドが復活する様子を「上に行く」ことで表現している。しかもボンドは「上に行く」という動作では、懸垂やエレベーターにしがみ付いて上がる時に苦労を強いられている。そして、すべてが終わったボンドがラストでロンドンを見渡せる高台に立っているというのは物語的にも映像的にもきれいである。

 

ボンドは撃たれて谷底に沈んでから身体的にも精神的にもボロボロになる。とてもスパイとしてやっていけるレベルではないが、Mが親心でボンドをスパイ業務に復帰させる。

 

シルヴァを捕まえたボンドはシルヴァの謀略に陥り、生まれ育ったスカイフォールにMを引き連れて戻ることになる。そんな彼らを出迎えるのがアルバート・フィニー演じるキンケードである。この展開は「ボーン・アルティメイタム(2007)」を思い出す。ボーンシリーズでは記憶を失ったボーンが、ラストで自分を殺人マシンとして育てた研究所に戻り、そのボーンを出迎える博士を演じたのがアルバート・フィニーだった。

 

また時代遅れと戦ってきた本シリーズは、常に他のアクション映画の後追いになっていた部分もあった。本作はどう見ても「ダークナイト(2008)」っぽいところがあるのは気にかかる。Mによる指示の結果撃たれたボンドは、見捨てられて悪に堕ちたシルヴァと同じ道を歩んだかもしれない。ボンドとシルヴァに対する母なる存在のMからの脱却、卒業という意味では良かったのだろう。

 

ただ、悪役のシルヴァが特に捕まってから逃走する流れは運要素が強すぎて、本作のシリアスな作風にアンマッチであった。ボンドに地下鉄が突っ込んでくるところは荒唐無稽ですらある。本作の作風からすれば、Qからもらったメカを手に取ってニヤッとするところや、アストン・マーチンをぶっ壊されてブチ切れるところくらいがちょうど良かった気がする。

 

とは言いつつも、時代遅れと戦うシリーズにおいて、一度落ちた男が復活する物語は一回きりの技かもしれないが、シリーズ屈指の作品と言える。

①<サム・メンデス(監督)>

サム・メンデス監督単独による音声解説。撮影前の段階で準備したこと、演技プランの打ち合わせ、使ったカメラやその意図、セットとロケの違い、脚本や音楽など幅広く、ほぼ休むことなく全編に渡って話し続けてくれる。ファンなら知っている情報も多いかもしれないが、サム・メンデス監督の過去作「ロード・トゥ・パーディション(2002)」への言及や、影響を受けた映画として「第三の男(1949)」「ホーム・アローン(1990)」「蜘蛛巣城(1957)」など挙げており、本作のファン必聴の音声解説と言える。

 

②<バーバラ・ブロッコリ(製作)/マイケル・G・ウィルソン(製作)/デニス・ガスナー(プロダクション・デザイナー)>

上記3名による対話形式の音声解説。冒頭に自己紹介をせず、字幕でも誰が喋っているかを表示してくれないやや不親切な仕様。話している内容は特に監督のサム・メンデスと撮影のロジャー・ディーキンスを称えるものが多いが、ロケや美術、音楽、俳優の演技など幅広く話している。ハビエル・バルデムが登場する本編の半分を過ぎたあたりから、映画に見入るようになって話す時間が減ってしまうのは残念だった。ただ、査問会議での銃撃戦のリハの話は面白かった。

「007/ドクター・ノオ(1962)」…シリーズ1作目
「007/ロシアより愛をこめて(1963)」…シリーズ2作目
「007/ゴールドフィンガー(1964)」…シリーズ3作目
「007/サンダーボール作戦(1965)」…シリーズ4作目
「007は二度死ぬ(1967)」…シリーズ5作目
「女王陛下の007(1969)」…シリーズ6作目
「007/ダイヤモンドは永遠に(1971)」…シリーズ7作目
「007/死ぬのは奴らだ(1973)」…シリーズ8作目
「007/黄金銃を持つ男(1974)」…シリーズ9作目
「007/私を愛したスパイ(1977)」…シリーズ10作目
「007/ムーンレイカー(1979)」…シリーズ11作目
「007/ユア・アイズ・オンリー(1981)」…シリーズ12作目
「007/オクトパシー(1983)」…シリーズ13作目
「007/美しき獲物たち(1985)」…シリーズ14作目
「007/リビング・デイライツ(1987)」…シリーズ15作目
「007/消されたライセンス(1989)」…シリーズ16作目
「007/ゴールデン・アイ(1995)」…シリーズ17作目
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)」…シリーズ18作目
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)」…シリーズ19作目
「007/ダイ・アナザー・デイ(2002)」…シリーズ20作目
「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」…シリーズ21作目
「007/慰めの報酬(2008)」…シリーズ22作目
「007/スカイフォール(2012)」…シリーズ23作目
「007/スペクター(2015)」…シリーズ24作目
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)」…シリーズ25作目
「007/カジノ・ロワイヤル(1967)」…本シリーズのパロディ
「ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)」…「007/サンダーボール作戦」のリメイク
「ジェームズ・ボンドとして(2021)」…ダニエル・クレイグに焦点を当てたドキュメンタリー
「サウンド・オブ・007(2022)」…本シリーズの音楽/主題歌に関するドキュメンタリー

①ソフト版

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